同窓生インタビュー

同窓生インタビュー:看護を基盤に医療をつなぐ,診療看護師(NP)の実践

小岩大介さん(看護学研究科 16期生 2021年3月修了)

診療看護師(NP)を目指したきっかけ,進学を決めた理由

社会経験を積んだ後,看護師として臨床の道に進みました。以降,一貫して循環器疾患患者のケアに携わる中で,自身の臨床判断や介入の多くが,患者さんやご家族,多職種との関係性の中で形作られてきたと実感してきました。
経験を重ねるにつれ,「より迅速かつ適切に対応できたのではないか」と感じる場面が増えました。こうした臨床の「わずかな遅れ」や「判断の余白」を埋める力を高め,患者さんや他職種へ還元できる医療者でありたいと考えるようになりました。その解決策として選択したのが,NPへの進学です。
愛知医科大学は,「全人的理解と倫理性,科学的根拠に基づいた高度実践」という教育姿勢が,先駆者の謙虚な実践から具体的に伝わっており,自らの臨床観と一致していたため,進学先として選びました。

大学院での学びで印象に残っていること

大学院で最も印象的であったのは,解剖学・生理学・薬理学といった基礎医学を医学部レベルで体系的に学び直せたことです。これにより,それまでの臨床経験で培った感覚が,単なる経験則ではなく,明確な根拠を持つ知識として再構築されました。
さらに,疾病や治療に関する理解を深めたことも極めて重要でした。看護と医学を分断せず,一体として統合的に捉える視点が形成され,現在のNP実践の基盤となっています。

現在の活動内容,日々の業務で担っている役割

大学院卒業後は心臓外科に所属し,入院前外来から退院後フォローまで,一貫した患者介入を行っています。具体的には,外来診療,周術期管理(症状アセスメント・マネジメント,薬物療法,検査,入退院調整など),術後フォロー,患者教育,在宅復帰支援,転院調整,ファーストコールや急変対応まで幅広く担っています。
超高齢社会の進行に伴い,複数の慢性疾患を有する患者が増加する中,単一疾患に限定されない包括的ケアが求められています。その中でNPは,医療と生活をつなぐ中核的な役割を担う存在であると認識しています。
個々の患者さんに応じて,キュアとケアを分けるのではなく,統合して提供することを実践の軸としています。

今後の目標,目指しているNP像

現在は医学研究科(臨床医学系・心臓外科)に在学しており,医学博士の取得を目指しています。臨床実践にとどまらず,研究活動を通じて,より再現性のある知見を社会に還元したいと考えています。
具体的には,心臓外科の領域からNPの診療プロセスの標準化,教育・研修の質評価,さらには地域医療との連携強化といった領域において,実証的なデータに基づいた提言を行うことを目指しています。臨床・教育・研究を横断しながら,医療システム全体に貢献できるNP像を追求していきます。

愛知医科大学又は診療看護師(NP)を目指す受験生へ一言

現在も社会人としての役割と大学院での学びを両立しながら,試行錯誤を続けています。容易な道ではありませんが,その過程が臨床に深みを与えていると実感しています。
「どこで学ぶか」以上に重要なのは,「自分が何を学びに行くのか」だと考えています。環境は重要な要素ではありますが,自ら問いを持ち,主体的に学ぶ姿勢が専門性を形づくります。
近年はNP実践の広がりに加え,特定行為研修修了者も増えています。しかし,医療の主体は患者さんとそのご家族であり,そのニーズを満たすことがゴールである点は変わりません。この視点を持ち続けることは,医療者としての謙虚さと深く関わる重要な姿勢です。
AIの普及により知識へのアクセスは飛躍的に向上しましたが,患者さんの前で意思決定を行う責任や,文脈を読み取る力は,人としての経験と内省によって培われる部分が大きいと感じています。

看護師を目指す方には,目の前の患者さん一人ひとりに真摯に向き合い,基礎的な看護実践を確実に積み重ねることが重要です。その経験が専門性の土台になります。

そしてNPを目指す方には,臨床で感じた違和感や課題を出発点とし,それを言語化し続けてください。その問いを深めることが,判断力と実践力を高める基盤になると考えています。


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