同窓生インタビュー

同窓生インタビュー:企業で輝く保健師~産業保健師としての挑戦~

向井翠さん(5期生 2008年3月卒業)

愛知医科大学を選んだきっかけ,入学の決め手

母が看護師のため,幼少期から看護師になりたい,医療に進みたいという思いがありました。
また,その頃に家族のケガや病気,手術で病院へお見舞いに行くことが多く,救急への憧れがありました。
しかし,母から聞いた保健師という資格のことも知っていて,看護師とは違う道も良いかもしれないという漠然とした思いがありました。

愛知医科大学は,当時,県内で唯一高度救命救急センターやドクターヘリのある病院があり,保健師の受験資格も得られるため,多くのことが学べると思いました。それまでは保健師・看護師の資格を取ることが目標でしたが,この先自分がやりたいことを考えるため,愛知医科大学を進学先として選びました。

入学して感じたこと,学生生活で印象に残っていること

1年生の時のふれあい実習で,病院ではなく健康が学べる施設(あいち健康プラザ)へ行ったこと,ゼミで生活習慣病のことを学んだこと等をきっかけに,命を救う・病気の人を助ける医療だけではなく,生きている人すべてに共通している「健康」の大切さを学びました。健康な人がずっと健康を保持増進していくこと,生涯現役で働くために,健康寿命を延ばすためには何が出来るか,予防医学の道へ進みたい思いが強くなりました。
また,2~3年生の時の公衆衛生,産業保健関連の授業では,労働衛生・産業保健という分野を知りました。母が仕事と家庭を両立している姿を見ていたことからも,働く人(青・壮年期)の健康管理に特に興味を持ち,私がやりたいことはこれだと思いました。
産業保健の実習はなかったため,同じ目標を持つ友人と一緒に,講義に来ていただいていた産業医の先生から話をいろいろ聞いたり,紹介していただいた企業に足を運んで産業保健師さんから話を聞いたりして,自ら学ぶ大切さを経験しました。

現在の活動,今後の目標

企業の保健師になることを目指しましたが,新卒採用は多くありません。卒業後は臨床には行かず,健康診断や人間ドックを行う施設に就職しました。
特定保健指導が開始された年で,保健師として採用されました。複数の事業所を回る巡回健診や施設内で行う人間ドック,保健指導,教育や啓発パンフレットの作成など様々な業務を行いました。その中でも巡回健診では大小様々,業種も多岐にわたる事業所へ行き,実際の労働環境を見たり労働衛生の担当者と話したり,様々な特殊健診に携わることで,教科書では知ることのできない労働衛生のことを学びました。
企業で保健師として働くときのために役立つと思い,メンタルヘルスの勉強を始め,産業カウンセラーという資格を取得しました。

現在はアイシン高丘株式会社へ転職し,アイシングループの「安全と健康はすべてに優先する」という基本理念のもと,保健師として労働災害や職業性疾病の防止,全従業員の健康管理を企画・推進しています。
現在の主な業務は,資格を活かしてメンタルヘルスの相談対応や予防から復職後の支援まで全般,健康経営活動推進の企画や運営などの健康管理全般の業務,アイシン高丘グループを含む8社の健康活動推進,衛生管理者として産業医巡視を含む社内の巡視などを行っています。全従業員が対象のポピュレーションアプローチは勿論,ハイリスク者や治療と両立しながら働く人のための支援もあります。社内の看護師や産業医をはじめ,職場や工場や人事労務管理部署などの社内の関係各部と連携して支援をしています。
働いている人は1日の多くの時間を会社で過ごしています。全従業員が健康で生き生きとした会社生活・私生活を送り,定年後も健康で過ごすための支援をこれからも考えていきたいと思います。

また,取得した産業カウンセラーやSNSカウンセラーの資格を活かして,仲間と自己学習グループを作って定期的に学んでいます。多角的な視点で考えて支援が出来るように,他のメンタル系の資格や技術を学んだり,社労士などの資格取得を目指して今後も自己研鑽を重ね,キャリアアップを目指していきたいと思っています。

衛星パトロールの風景①
衛星パトロールの風景②

看護学部での学びや経験が,現在の活動にどのように影響しているか

病院での看護とは支援対象も仕事の内容も異なりますが,看護職として支援する時の考え方は同じです。例えばメンタルヘルスでの相談対応や面談では,対象者と向き合い話を聴くときの傾聴,教育や保健指導で必要になっているコーチングの要素は授業で学んだ基礎が今でも活かされています。

また,社内での様々な業務はPDCAをもとに,まずはデータを集めて分析し,アセスメントを行い,しっかり計画を立てて実施することが重要です。その中で,大学で学んだ考え方を活かしています。例えば,アセスメントをするときはクリティカルシンキングの視点を活用,相談や面談などで人と向き合うときは,相手の思いを傾聴すること,SOAPの考え方を使って支援を考えます。
専門職としてやりたいことは沢山ありますが,自己満足の支援にならないように,会社や対象となる従業員にとって本当に今必要な活動は何か,やるべき支援は何か,優先順位をつけて実施することを意識して業務を行っています。

さらに,卒業後は保健師として就業する卒業生の会である「りぼんの会」に参加しています。学内の卒業生の中でも保健師として働く人は少数で,その中でも企業で働く保健師はごくわずかです。保健師を志す学生も混ざり,卒業年に関係なく情報交換ができ,新しい関係づくりができるとても貴重な場であり,毎年楽しみにしています。

カンファレンスの風景
面談の風景

愛知医科大学を目指す受験生へ一言

看護師も保健師も,資格を取ることが終わりではなく,自分の専門性を高め,様々な分野で活躍し,それぞれがキャリアアップしています。愛知医科大学は資格を取った後どんなところでどんな看護を提供するのか,仲間や先生との出会いや,様々な授業・実習で学びながら自分自身の進路を考えていける場所です。大学での経験や出会いは卒業後も生きてきます。そして,保健師として興味のある方や目指される方は「りぼんの会」でお会いしましょう。同じ資格を持つ仲間としてお話できることを楽しみにしています。


インタビュー記事一覧はこちら

お知らせアーカイブ

-同窓生インタビュー

PLAY NOW